約40名の現代作家による、世界でも希少な写実絵画の専門美術館です。約300点の所蔵品の半数以上を常設する長い回廊空間は全長500メートルに及びます。鑑賞者に緻密な筆致で描かれた作品世界とじっくりと向き合ってもらうために、空間は徹底的に抽象化されました。天井、床、壁の目地はおろかピクチュアレールさえも排除され、展示照明も無数の小さな穴から行われています。これを実現可能にしたのがLED光源です。光源の演色性は美術展示では作品保護とともに最も重要視される要素のひとつですが、LEDの選定は演色評価数だけに頼らず、その評価に作家本人の協力を仰ぐことで写実絵画に最も相応しい展示照明システムが生まれました。

サワダライテイングデザイン＆アナリシス 澤田 隆一

日本建築大賞2011受賞、第29回日本照明賞（平成22年）受賞